こんにちは、製造業出身で、現在フリーランスエンジニアをしているなおひこです。
製造業で働いていると、「スキルが身についている気がしない…」「給与もなかなか上がらないしこのままでいいのかな…」という不安な気持ちになりますよね。
僕も製造業時代、ネットで調べると、「製造業 = 手に職がつく」と紹介されている記事があるものの、働きながらイマイチしっくりこないと感じることも多かったです。
この記事では、「製造業で本当にスキルは身につくのか?」「スキルを活かしてキャリアアップできる職業は何なのか」について解説します。
この記事を読むことで、スキルに対する考え方が整理でき、より自分に合った職種を見つけるヒントが得られるはずです。
製造業はスキルが身につかないのか
結論、製造業でもスキルが身につかないわけじゃありません。
大前提として、どんな仕事でもスキルは身につきます。例えばコンビニバイトでも、レジ打ちや品出し、接客など様々なスキルが身につくのと同じように、製造業でも数多くのスキルを習得できますので。
ただ、「スキルが身につくのか?」に対する「スキル」とは、「どこでも通用するようなスキルは身につくのか?」といった意味合いが強いはずで、そうなると答えはNOです。
製造業で身につくスキルの多くは、その会社に依存しており、転職時に直接役立てにくいというのが現実です。
よくある反論として、「製造業でもスキルは身につく」と主張する人がいますが、「スキルが身につくこと」と「そのスキルが汎用的に活かせること」は全く別の話です。
スキルには汎用スキルと特定スキルの2種類ある
- 汎用スキル:どこでも通用するスキル
- 特定スキル:その会社でしか通用しないスキル
上記の通り、一般的に表現される「スキルの身につく仕事」のスキルとは、汎用スキルのことです。
言い換えると、「身につけたスキルで独立できるか」とも言えます。美容師のようなイメージですね。
製造業で身につくスキルの例を挙げます。
- 機械設備の動かし方
- 工場内の作業手順
- 測定器具の使い方
上記のようなものが一般的です。もちろん、コミュニケーション能力や問題解決力といった汎用スキルも身につきますが、これは製造業に限ったことじゃありません。
製造業ならではのスキルは、その会社でしか通用しない特定スキルがほとんどです。
製造業はパターン化された業務が多い
特に現場作業者の場合、「作業手順書」に従って作業することが多いと思いますが、これには理由があります。
製造業では、3M(Man・Machine・Material)という品質管理の考え方があります。これは、「人(Man)・設備(Machine)・材料(Material)」の3要素が安定していれば、同じ品質の製品を作り続けることが出来るという原則です。
ただ、人の要素は、配置転換や退職などで変化しやすいので、誰が作っても同じ結果になる仕組みが必要。そこで重要になるのが、「作業手順書」です。手順を標準化することで、作業者ごとの差異を無くして品質を安定させるのが狙いです。
このような背景から、「製造業では作業をパターン化する = 誰でもできる仕事」の構図が出来上がります。
製造業は大量生産がほとんど
製造業では、基本的には同じ製品を大量に生産することが求められます。これは、コスト面や品質を一定に保つためです。
ただこういった作業は標準化されやすく、決められた手順通りに進めることになりがち。
結果として、業務の中で身につくスキルは、特定の製品や業務にだけ使えるものになりやすく、他の業界で活かしにくいことが多いです。
汎用スキルを身につけたいならITエンジニアが良い
製造業と似ている部分が多く、意外と適応しやすいからです。その反面、業務の特性上、身につくスキルは汎用的です。
似ているところ:生産工程を担当している
どちらの業界も、「生産 → 流通・販売 → 消費者」という流れの中で、「生産工程」をしています。
- 製造業:工場で製品を作り、流通を通じて販売
- ITエンジニア:システムやアプリを開発し、ユーザーに提供
物理的な製品を扱うか、デジタル製品を扱うかの違いはあるものの、ものづくりの考え方自体は共通している部分が多いです。
例えば、機能の一部を実装した後にテストをするのですが、これは製造業でいう「検査工程」です。また、外部で作られたシステムが正常に機能するか確かめる「受け入れテスト」も、製造業の「受入検査」と似た考え方ですね。
さらに、製造業でよく見かけるISO9001(品質マネジメントシステム)を取得しているIT企業も少なくありません。
このように、業務内容は違っていても、プロセスの考え方は似ている部分が多いので、製造業出身者でもITエンジニアに適応しやすいかと思います。
汎用スキルが身につきやすい
ITエンジニアが身につける主なスキルとして、プログラミングがありますが、これは他会社でも通用しやすいスキルです。
例えば、「Hello World!」と画面に表示するプログラムがあったとします。このプログラムは、日本人でもアメリカ人でもインド人でも、誰が書いても同じ動きになります。こう考えると、国内に限らず世界で通用するスキルとも言えます。つまり、「プログラミング言語」の名前の通り、世界共通の言語を習得するのと同じです。
昨今、「日本オワコン」という風潮がありますが、世界でも通用するスキルが身につくのは心の安定剤になります。
業界を超えてキャリアを活かしやすい
こうした汎用スキルが手に入るITエンジニアは、様々な分野で活躍できる機会が増えます。製造業とのキャリアパスと比べると下記の通り。
- 製造業:別の工場やメーカーへの転職が主流
- ITエンジニア:業界・業種問わず転職・独立が可能(DX、コンサル、フリーランス)
例えば、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉がありますが、ITと掛け合わせて作業の効率化だったりサービスの利便性を上げる動きがあります。
業界 | DXの具体例 | 効果・メリット |
---|---|---|
製造業 | ロボット導入 | 人手不足解消・作業の自動化 |
デジタルマニュアル | 作業標準化・新人教育の効率化 | |
小売 | セルフレジ・キャッシュレス決済 | 人件費削減・会計スピード向上 |
飲食業 | モバイルオーダー | 注文の効率化・待ち時間削減 |
物流・運輸業 | ルート最適化AI | 燃料コスト削減・配送効率アップ |
金融業界 | 倉庫ロボット化 | ピッキング作業の自動化・人件費削減 |
ネット銀行・アプリ決済 | 24時間対応・利便性向上 |
上記はほんの一例ですが、IT技術は様々な分野で活用されているので正直言って需要はかなり高いです。
その証拠に下記をご覧ください。

今後さらにITエンジニアが不足していくと予想されていますので、ITスキルは「多くの人から求められる」汎用スキルであることを意味します。
フリーランスになりやすい
IT業界では、フリーランスエージェントという「フリーランスとIT企業を仲介してくれるサービス」が数多く存在するので、フリーランスには比較的簡単になりやすいです。
例えば僕は、プログラミング学習をしてから2年ちょっとで、エージェントを利用してフリーランスになりました。ちなみに年収も直近の製造業時代と比べて2倍近く上がりました。しかも、こういった例はそれほど珍しくないので再現性も高いです。
こういった経験からも、ITエンジニアのスキルがどこでも通用して需要も高いことが言えると思います。
作る製品がオーダーメイド
- 製造業:大量生産(同じ製品を効率的に作る)
- ITエンジニア:オーダーメイド(案件ごとに仕様が違う)
上記のように、ITエンジニアが開発するシステムやアプリは、数ヶ月~数年かけて作り上げます。なので、製造業とは違って製品に対して愛着が湧きやすく、それが「より良い物を作ろう」というモチベーションにもなりやすいです。
僕が金属加工の工場にいた時は、よく分からないギヤを1日何百個も生産しており、正直言って「良いものを作る」なんて気持ちは全く湧きませんでした。これじゃ、仕事をしてても楽しくないし、スキルが上がるはずもありませんよね。。。
実際に僕は製造業からITエンジニアになってからは、初めて仕事にやりがいを感じるようになり、仕事に向き合う姿勢も良い方向に自然と変わりました。
思うに、「スキルを身につけたい」と前向きな考え方を持つ人は、1つのものを時間をかけてじっくり作り上げる職人気質の人が多く、ITエンジニアの業務が合っていると思います。
スキルアップには仕事に対する情熱も必要なので、「熱中できる仕事を選ぶこと」も大切な要素です。
製造業で汎用スキルが身につかないのは仕方がない
当記事を3行でまとめます。
- 製造業でもスキルは身につくが、多くはその会社限定の特定スキルであり、汎用性が低い。
- ITエンジニアは汎用スキルを習得しやすく、転職や独立の選択肢が広がるため、多くのキャリアパスがある。
- ものづくりの考え方が共通しているので、製造業からITエンジニアへの転職は適応しやすく、成長や収入アップにもつながる。
もし、これからITエンジニアを目指す場合、リスクなく始めるために、まずは小さく試してみるのがおすすめです。製造業では新しい職種を試すことは難しいですが、ITエンジニアの仕事は、ほぼ無料で体験ができる環境が整っています。
例えば、プロゲートやドットインストールといったプログラミング学習サイトを活用するなど。
実際に手を動かしてみることで、「自分に合っているか」が明確になりますし、スキルが身につけばそのまま転職することも可能です。
プログラミングの始め方については下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
