- 製造業で向いている人の特徴を知りたい
- 自分が製造業に向いているか確認したい
- 自分の適正に合った仕事を発見したい
僕は10年以上製造業で働いた後、エンジニアに転職し、現在はフリーランスとして活動しています。
こういった経験から、多くの人は「製造業が向いている人」に間違ったイメージを持っているなと感じました。そのため、「製造業に向いているはずなのに、何だかしっくりこないな…」と感じてしまう原因になります。
そこで今回は、「製造業が向いている人」のよくある勘違いを解説し、活躍するための適性やスキル、ITエンジニアとの共通点について解説します。
「製造業が向いている人」を勘違いしている話
ネットをみると、「ものづくりが好きな人は製造業に向いている」という意見がありますが、それは大きな勘違いです。
その理由について、順番に説明します。
製造業の多くは大量生産だから
ものづくりというと、「1つの製品を作り上げる」というイメージがありますが、製造業のほとんどは大量生産です。
大量生産では、「1つの製品を丁寧に作る」んじゃなく、「大量の製品をいかに効率よく不良品を出さずに生産するか」に重点が置かれます。
つまり、作業をマニュアル化して誰でも一定レベルの製品が作れる仕組みづくりをするということです。
ものづくりが好きな人が陥るギャップ
作業が標準化されるということは、言い換えると「誰でもできる作業」ということです。
ものづくりに興味のある人は、「手に職をつけたい」とか「スキルを磨いてバリバリ稼ぎたい」と考えている人も多いと思いますが、こういったこととは真逆になります。
もちろん、コミュニケーション能力や現場の改善スキルなど、身につくスキルもありますが、これは製造業に限ったことではありません。
たとえば、下記の2人がいたとします。
- Aさん:製造業で5年勤務。その会社の機械設備のオペレーションは全て習得済み
- Bさん:IT企業で5年勤務。実務で使えるプログラミングスキルは全てマスター済み
どちらが社会で評価されるでしょうか?
- Aさん → その会社で評価される人材。会社内で活躍できる。
- Bさん → 社会で評価される人材。IT業界で活躍できる。
多分、ものづくりが好きな人が望むのはBさんのような人材だと思います。ただ、大量生産の現場では、その夢を叶えるのは難しいという現実があります。
製造業に向いている人の特徴
結論、「生産工程を重要視できる人」だと思います。 まとめると下記の通りです。
- 仕組みを考えるのが好きな人
- 決められたルールを愚直に守れる人
- 同じ作業を毎日飽きずに続けられる人
順番に見ていきます。
仕組みを考えるのが好きな人
大量生産の現場では、「個人のスキルをいかに伸ばすか」よりも「会社員全体のスキルを底上げしていく」方が大切です。
例えば、「Aさんの作業ミスで不良品を出してお客さんからクレームが来た」と仮定します。この時、問題にするべきことは、「Aさん自身」ではなく、「Aさんが行っていた作業環境や作業手順などの仕組み」です。
よくある対策として、「作業者をBさんに変更しました」というものがありますが、これでは対策になっていません。なぜなら、Bさんも同じミスをしてしまう可能性があるし、急な人員不足になった時、再びAさんが同じ作業をしないといけなくなる可能性もあるからです。
もちろん個人のスキルが高いことはいいことですが、個人のスキルだけに依存するのは、大量生産の現場では適切とはいえません。スポーツでいうと、団体競技に似ている部分がありますね。
このように、人ではなく仕組みに着目して改善するのが好きな人は製造業に向いています。
決められたルールを愚直に守れる人
仕組みは作るだけじゃ意味がなく、全員がキチンと守らないと機能しません。
例えば、「作業前に設備点検をしてチェックリストに記入する」というルールがあったとしても、「忙しいから」という理由で点検をしなかったりチェックリストへ記入しなかったりといった感じです。割とこういった現場は多いんじゃないでしょうか。
こういった場合でも、あくまで決め事を優先して行動しないといけません。例えば、「今の作業量だと設備点検をする時間がありません」と、班長なり責任者へ現状を報告して相談するなどです。
もし、「そんなの関係ない。お前が頑張ってやれ!」みたいなことを言われたら、僕なら退職を考えます。上司がマネジメントを放棄している会社なんて、未来は無いし自分の成長にも繋がりませんので。
製造業では、あくまで「ルールを守ること」を優先的に考えることが求められます。
同じ作業を毎日飽きずに続けられる人
前述の通り、製造業では標準化された作業が多いので毎日同じことの繰り返しになりがちです。
人によっては、「本当にこの仕事を続けてていいんだろうか…」とか、作業中に自問自答したり、余計な思考も巡ってきます。僕はこのタイプでした。
一方で、「黙々と作業するのが全然苦じゃない」と感じる人もいます。以前の職場の後輩がこういったタイプで、同じ作業を淡々とこなすのに抵抗が無い様子でした。
製造業に向いているのは明らかに後者で、「言われたことだけやっててお金をもらえるとか楽だなぁ」と考えられる人には天職かと思います。
「ものづくりが好き」ならITエンジニアが向いている
大量生産がメインの製造業ではなく、「ものづくり」自体が好きな、手に職をつけたい人はITエンジニアに向いていると思います。
ITエンジニアが「ものづくり好き」に向いている理由
ものづくりが好きな人には、次のような潜在的な欲求があるはずです。
- どこでも活躍できるスキルを身につけたい
- 市場価値を上げて、求められ人材になりたい
- スキルを磨いて、将来は独立して稼ぎたい
これらの欲求を、製造業とITエンジニアで比較してみます。
内容 | 製造業 | ITエンジニア |
---|---|---|
スキル | 仕組み化されているのでその会社でのみ使えるスキルが身につく | プログラミングやIT技術など他社でも使えるスキルが身につく |
市場価値 | 限られた業界・企業でしか評価されないので、上がりにくい | エンジニア不足のため需要が高く、市場価値が上がりやすい |
独立のしやすさ | 独立の道がほぼなく、会社に依存しやすい | フリーランスや起業など、独立しやすい環境が整っている |
このように、「会社に依存することなく、自分の力で稼げるスキルを身につけたい」と考えている人にとって、ITエンジニアは最高の職種です。
実際に僕は37歳になってからエンジニア転職しましたが、上記の比較は実体験でもあります。手に職をつけたいと考えていた僕にとって、エンジニア職は本当に天職だと思っていますし、「仕事 = 苦しみに耐えるもの」じゃないんだなぁと初めて実感しました。
エンジニア転職には事前の学習は必須です
ITエンジニアは技術職なので、「何も分からない状態」だと、役に立たないどころか教育コストがかかりすぎてしまいますので、事前の学習は必須です。
たまに転職サイトで「未経験歓迎!」みたいな募集を見かけますが、うかつに申し込まないように注意してください。ITエンジニアとして就職したものの、実際は家電量販店や携帯ショップの販売員として派遣される会社もあるようですので。※結構、業界の闇だったりします。
会社からは「まずは経験を積んでから」とか言われるようですが、販売員として何年働いてもエンジニアとしての経験なんて積めません。。。
エンジニア転職を成功させるためには、事前の学習が不可欠です。具体的な学習方法については、下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

勉強必須の技術職は好きを仕事にできる
ここまで聞くと、「勉強とか嫌だなぁ」と感じるかもしれません。ただ、これは考え方次第では大きなメリットでもあります。具体的には下記の流れです。
プログラミング学習をする → 大変なことを続ける → なぜなら好きだから → 好きを仕事にできる
プログラミングの習得には、3~6ヶ月くらいかかります。逆にいうと、それだけ長い期間学習できる人は、「プログラミングが好き」という証明でもあります。
これは、漫画を好きな人が上手くなるために、毎日絵を書き続けるのと似ていますね。
一時期、「好きを仕事に」という言葉が流行りましたが、エンジニアはまさにこの理想を叶えやすい職種です。
製造業が向いているか不安ならITエンジニアもアリ
ものづくりが好きな人は製造業に向いているとよく言われますが、それは勘違いです。
もし今の働き方に疑問を感じているなら、ITエンジニアも選択肢に入れてみてください。
- どこでも活躍できるスキルを身につけられる
- 市場価値を上げて求められ人材になれる
- スキルを磨いて将来独立して稼げる
もし、「手に職をつけたい」と思って製造業で働き出したなら、確実にエンジニアの方が向いているはず。実際に僕は37歳からエンジニア転職し、スキルを身に付けた後にフリーランスで生活できるようになれました。
年収も製造業時代の倍近くになったので、割とコスパの良い働き方だと思います。
